洋書とともに生きていく。

趣味で洋書を読んでいます。本の感想、英語の勉強などについてつづります。

【映像化作品】『Love, サイモン 17歳の告白』を観た。

日本では残念ながら劇場未公開となってしまった映画『Love, サイモン 17歳の告白』のブルーレイを購入しました。(ブルーレイ-Amazon)(Amazonビデオ-字幕版

Love, サイモン

映画の原作「Simon vs. The Homo Sapiens Agenda (Amazon)」(邦訳版タイトル「サイモン vs 人類平等化計画」- Amazon )は大のお気に入りで、オーディオブックまで購入し、繰り返し何度も楽しんでいます。そして映画を観たら、この作品がますます大好きになってしまいました。

生きていると楽しいことばかりでなく、うまくいかないことも面倒くさいこともたくさんあります。人には言えない秘密を抱えて孤独に苦しむこともあれば、ふとしたことがきっかけで友情にヒビが入ってしまうこともある。そんなときにこの映画を見れば、きっと、「誰もがそうなんだ、自分一人だけじゃないんだ」と思えるはず。

 

近日中に、本と映画のレビューをアップしますね。

【洋書レビュー】Call Me By Your Name 桃は悪くない!ぜんぶ「愛」とやらが悪いんだ。

今年度のアカデミー賞で最優秀脚本賞に輝いた映画『君の名前で僕を呼んで』の原作です。

LGBTをモチーフにした作品は好きですし、若干、腐女子の気があることも自覚していますので、イケメン俳優2人によるひと夏のラブストーリーと聞いて、日本で公開される前から絶対に観たいと思っていました。

しかし、映像作品に原作がある場合はまず本を読むのが信条(ってほどでもないけど)。なかなか原作を読む暇がないまま時間がたち、映画も観られずじまい。この度ようやく時間ができ、本を手にすることができたのでした。

Call Me By Your Name

購入したのは英国版ペーパーバック

あらすじ

1980年代の夏。17歳のエリオは、大学教授の父親とともに、一家でイタリアの避暑地で暮らしていた。そこへ、アメリカから24歳の大学院生オリヴァーが父親の助手としてやってきて、エリオの家に滞在することになる。やがて激しく惹かれ合い、恋に落ちるエリオとオリヴァー。しかし、短い夏の終わりは、2人の甘い生活が終わることをも意味していた…。

 

いや~、この作品、たくさんのファンがいらっしゃることを承知で、正直に告白しますが…。

読むのがムチャクチャ苦痛でした!

当初、この物語は17歳のエリオが今の心境を語る形で展開されるものだと思っていたのです。ところが読み始めてみると、いかにもインテリが好みそうな見慣れない単語や、まわりくどい長文が出てきます。50ページほど読んだところで(遅いよ)、それが大人になったエリオによる回想録であることが判明しました。この時点でかなり「えー…」という感じになりましたです。

細かな人物描写と情景描写が丁寧に積み上げられ、恋する2人の肌を照らす太陽の光のきらめきや、甘い果実の匂いがリアルに伝わってきます。しかしその美しい文章から、なぜか人間的な温もりが伝わってこないのです。

初恋とは本来、美しいだけでなく、時にみじめで、かっこ悪いもの。なのに、そのようなみっともないものは、大人になったエリオ氏の思い出補正によって、見事に排除されているのです。 美しいもの「だけ」で構成された文章を読んでいると、すでにお腹がいっぱいなのにサーロインステーキとキャビアを無理やり口に突っ込まれているような、そんな感覚に襲われます。

だいたい、イケメン、インテリ、エリートという恵まれた条件を存分に活かせる環境にありつつ、なおかつ叶わぬ恋の病に身を焦がすなんて、わたしたち下々の者からしてみれば、贅沢にもほどがあります。この恋が叶わなくとも、あんたたちなら他にいい思いはいくらでもできるだろうに…。彼らが互いの気をひこうとしたり、かと思えば急に素っ気なくしたり、そんな焦ったさに我慢できなくなって激しく求めあったり…。2人のイチャつきっぷりに付き合わされているうちに、もうイケメン同士で勝手にやってちょうだい、という気持ちになってきます。

極めつけは「桃」のシーン。この場面を電車の中で読むはめになったわたしは、赤面しているのを隠すのが本当に大変でした。幸い周りの乗客はスマホゲームやLINEに夢中だったようで、事なきを得ましたが。はあ〜、これがエリートリベラル向けのポルノというやつか…。

そのうえ、激しく愛し合っているといいながら、2人ともしっかりガールフレンドをキープしていたりするんですよ。まったくもってけしからん奴らです…。

というわけで、途中でいい加減いやになり、何度も本を放り出しそうになリますが、その都度、絶妙なタイミングで、胸がキューンとなる一文が出てきたりするのです。

たとえば、期間限定の恋が終わりに近づいてきたときの、エリオのこの独白。

This was a time when I intentionally failed to drop bread crumbs for my return journey; instead, I ate them.

悔しいけど、美しい。この一文を打ちながらもう泣きそうになってます…。

そんなわけで、会社帰りにBOOK OFFで売却したくなる衝動にかられながらも、読むのをやめることはできませんでした。そして、最後まで読んだ今となっては、この本に出会えて本当によかったと思っています。それは、最終章(「Ghost Spots」)と、Viminiという10歳の少女の存在があったからです。

最終章では、もはやファンタジーの世界にいたエリオとオリヴァーが、ようやく読者のレベルに降りてきてくれます。そして、10歳の少女Viminiは、登場回数は少ないものの、17歳の少年エリオの生き様との対比によって、美男2人の恋愛パートでは感じ取ることのできなかった「人生のやるせなさ」みたいなものを作品に添えてくれています。

この2つの要素なしではこの物語は成り立たないと個人的には思っていますが、映画版ではなんと、これらがばっさりカットされているというではありませんか。これらを盛り込まずして、脚本家のジェームズ・アイヴォリーさんがどのようにして多くの人々の心を掴む作品に仕上げたのか、この目でぜひ確かめなくては。

原作を読んで映画への興味が削がれたどころか、ますます観たくなりました。

  • タイトル:Call Me By Your Name (ペーパーバック版 -Amazon)(Kindle版 -Amazon
  • 作者:André Aciman
  • ページ数:256ページ
  • ジャンル:ロマンス、ラブストーリー、青春小説、LGBT
  • 難易度:ところどころに聞きなれない単語、長文あり。文体にクセがあり、慣れるまでは読みづらいかも。

【洋書にまつわるあれこれ】ボストンの書店のレシート

前回、ボストンの書店で偶然出会ったステキな本について書きました。その時にもらったレシートの端っこに、考えさせられるメッセージが。

日本で洋書を新品で手に入れるには、Amazonか大型書店チェーンしか選択肢がないといっていい状況。 なんとかしたいが…どうしたものか。ごめんなさい…。

【偶然出会ったステキな本】Voracious 食欲の秋に読みたい、食と本への愛が溢れるエッセイ

voracious

今年5月、ボストンを旅行したときに地元の書店で見つけた「Voracious」という本です。著者はボストン出身、現在はブルックリンに住みソーセージ職人兼フードブロガー(Food blogger/vlogger)として活動しているCara Nicolettiさんです。

精肉店の娘として生まれ、お店の奥で本を読みながら育ったCaraさん。この本は、Caraさんの幼少時代から現在までに読んできた本と、それらの本に登場する食べ物にまつわる思い出が綴られたエッセイ集です。

voracious

たとえばこちらは「赤毛のアン」がテーマの章。各章ごとに、このような可愛いイラストと、Caraさんによる料理のレシピが添えられています。 

本のタイトルの voracious とは、「大食の」「貪欲な」「飽くことのない」という意味。a voracious appetiteといえば「旺盛な食欲」、a voracious readerなら「貪るように本を読む人」ということになります。Caraさんの食と本への愛がvoraciousという一語で表現されているのです。

この本は、ハーバード大学のすぐそばにある書店で、地元出身の作家の本として紹介されていたものです。ボストンの食べ物がとても美味しかったこともあり、この本とは出会うべくして出会ったという感じ。旅のよい記念になりました。

この本を常にベッドの脇に置いておき、眠りにつく前、旅の記憶を辿りつつパラパラとページをめくっているだけで本当に幸せな気持ちになれます。ただ、読んでるとお腹が空いてきちゃうので、深夜に読むのは危険なんですけどね…。

Cara Nicolettiさんの instagram

Cara Nicolettiさんの Blog

Cara Nicolettiさんに関するVogueの記事(2018年2月)  

Voracious (Kindle版-Amazon)(ペーパーバック -Amazon

【本にまつわる英語ニュース】"tsundoku"は世界の共通語に?

わたしの本棚には、数えるのも嫌になるぐらいの未読の洋書が並んでいます。Kindle本も合わせると、もう気が遠くなるぐらいの数です。さらに昨日、海外のサイトで注文したままそのことをすっかり忘れていた中古のペーパーバックが2冊も届いてしまい…。どこから手をつけたら良いものかと、頭を抱える毎日です。

そんなわたしのTwitterのタイムライン上に最近、「積ん読」にまつわるアメリカのニュース記事が立て続けに流れてきました。ああ、積ん読仲間は海の向こうにもたくさんいるんだ!と、ちょっと勇気がわく内容です。

 このアイキャッチ画像に写っている本のラインナップが、いかにもな感じで実にいいですよねえ。ドストエフスキーとかフィリップ・ロスとかケルアックとか村上春樹とか、本棚に並べておけばサマになるけれど、実は読んでないっていうw

こちらの記事を書いたのはどうやら書店員さんのようですが、積ん読を必死に正当化しようとするその内容に、首がちぎれそうになるぐらいブンブン頷きながら読みました。I can relate!

 "emoji"や"kaizen"、"sudoku"などと並んで、"tsundoku"も英語としてそのうち定着してしまうのかもしれませんね。良いことです。

【洋書レビュー】To All the Boys I've Loved Before 恋愛だけじゃない!夢見がちな女の子の微笑ましい成長物語

あらすじ

16歳の高校生ララ・ジーンは、引っ込み思案で夢見がちな女の子。好きな男の子ができるたびに、秘めた思いを手紙に書きつづっては、相手に手渡すことなく秘密の箱にしまいこんでいた。ところがある日、出すつもりのなかったそれらの手紙が、なぜか相手のもとに届けられてしまった!手紙の届いた5人のうち、姉の彼氏のジョシュ、そしてかつての友人ピーターとの間で、それぞれの思惑がからみ合う複雑な展開となり…。

Netflixで8月に配信開始となったオリジナル映画『好きだった君へのラブレター』の原作です。

いきなり話は逸れますが(すみません)、ここだけの話、わたしはいい歳をして英国のボーイバンドOne Direction(ワン・ダイレクション、以下1D)のファンなのです。Twitterでは海外の1Dファン(主に10代から20代の女の子)のアカウントをいくつかフォローさせてもらってますが、9月に入ったあたりから、1Dファン経由でこの映画に関するツイートが頻繁に流れてくるようになりました。

主人公がアジア系の女の子、そして相手役の男の子がイケメンということでわたしのタイムラインは大騒ぎになっていましたが、それ以外の部分でも何かと話題が多く(ちなみに1Dファンが騒いでいた一番の理由は「主人公の部屋のセットに1Dのハリー・スタイルズのアルバムジャケットらしきものが映っていたから」)、特にわたしの目を引いたのがこちらのツイート。この件は日本のニュースサイトでも伝えられていましたね。

主人公の意中の相手の一人がヤクルトを飲むシーンがあり、商品名の言及などは一切なかったにも関わらず、これを見たワールドワイドの視聴者がヤクルト売り場に殺到したというのです。上のツイート主はニュースを引用し「みんな、わたしのお気に入りのドリンク飲むのやめてよ!値段が上がっちゃうじゃないの」と憤慨している様子。10年ぐらい前に日本で「納豆ダイエット」なるものが流行って一時スーパーから納豆が姿を消したとき、わたしが全く同じようにボヤいていたことを思い出しました。

まあそれはさておき、こんな風に世界規模で盛り上がっている様子を見ると、もともとロマコメ好きなわたしとしては、俄然この映画に興味がわいてきます。しかし、ベストセラー小説が原作となれば、ロマコメよりも先に無類の本好きであるわたしとしては、やはり映像を見る前に原作を読むのが筋(?)というもの。ということで、早速Amazonでペーパーバック版をポチリ。翌日、わたしの元にその本は届いたのでした。

 なんといっても、カバーデザインが可愛い。

All the Boys I've Loved Before カバー表

マジックペンの直筆のようなタイトルのフォントがまず良いし、モデルの女の子も可愛い(映画の主役の子もチャーミングだけどね)。この女の子、顔立ちは大人っぽいんですが、裏表紙を見ると…

All the Boys I've Loved Before カバー裏

このハイソックスで一気に幼いイメージに。少女と大人のあいだで揺れ動く微妙な時期の雰囲気がよく現れていますよね。

肝心の本の中身の感想。

この本の題名を直訳すると『かつてわたしが好きだったすべての男の子たちへ』。当初、このタイトルとNetflixのあらすじだけを見て、「好きだった男の子たちに書いた手紙が勝手にバラ撒かれた結果、地味だったわたしにモテ期が来ちゃった!どうしよう!」的なストーリーを勝手に想像してしまったのですが、その予測はいい意味で裏切られました。

モテ期うんぬんの話ではなかった上に、主人公の恋愛模様だけでなく、家族との関係がかなり重点的に描かれており、それが本書のキモになっているのです。

主人公のララ・ジーンは、父親、姉、妹との4人家族。幼い頃に母親を亡くして以来、しっかり者の姉に頼り切った生活を送っていました。ところがその姉がスコットランドの大学に留学することになり、医師として忙しい毎日を送る父親とマイペースな妹を姉に代わって支えつつ、自分の面倒は自分で見なければいけなくなります。彼女なりに努力はするものの、なかなか思った通りにはいきません。そこへ例のラブレター騒動が勃発し、にっちもさっちも行かなくなるララ・ジーン。しかし、家族の優しさに助けられながら、ララ・ジーンは小さな歩幅で少しずつ前に進み、自分を取り巻く人間関係や恋愛への答えを見つけていくのです。

読み進めるうちに、どこまでもどんくさいララ・ジーンが好きになり、応援したくなってきます。最後の数章は泣きながら読みました。そして、「えっ、ここで終わりやがるのか!」という絶妙なタイミングでのエンディングに、わたしはすぐさま続編2冊を追加購入してしまったのでした…。Jenny Hanさんの術中にまんまとハマったわたし。

All the Boys I've Loved Before 続編  

とにかく先が気になる…そして今日もまた本が積み上がる…。

◆その他のポイント◆

  • アジア系アメリカ人の日常が垣間見えて面白い。たとえば、日本でもすっかりおなじみになったハロウィンパーティーアメリカに住むアジア人が仮装する場合には、それなりの制約があるらしい…というようなことがわかったり。
  • 学校生活、きょうだいとの関係…「ティーンあるある」が満載。
  • 映画で話題になった「ヤクルト」、原作にも出てきます。他にもポッキーとか。
  • 英語は平易で読みやすい。日常会話で使えそうなフレーズもたくさん。
  • 最後まで読むと、改めて映画の邦題「好きだった君へのラブレター」は秀逸!

【ごあいさつ】はじめまして。

はじめまして。(ぴ)ことHirokoと申します。

趣味と英語の勉強を兼ね、洋書を読んでいます。

洋書を開くと、たちまちわたしの背中に翼が生え、世界を旅している気持ちになれます。

海外に出ずとも、家にいながら、通勤電車に揺られながら、自分の知らない異国の人々の暮らしや文化を垣間見ることができます。その時間がとても心地いいのです。

洋書を読むときの喜びをみなさんと共有できたらと思い、このブログを立ち上げました。

洋書を読んでいるとはいっても、けっして英語が堪能なわけではありません。

30代前半で英語のやり直し学習を始めて、もう10年以上たちます。日本語で書かれた本と同じ速さで洋書を読み、楽しめるようになることを目標にしていますが、なかなか思うようにはいきません。ましてや、英語のアウトプット(会話や英文ライティング)となると完全にアウト。そんなわたしなりに、英語の上達のために努力していることなども綴っていければと思っています。

そんなわけで…どうぞよろしくお願いします。

一緒に洋書ライフを楽しみましょう!

f:id:paperbackreader:20180927192651j:plain